PAC思考とは
PAC思考とは、Premise(前提), Assumption(仮定), Conclusion(結論)の3要素に整理し、結論の妥当性をチェックすることで、思考の精度を向上させる思考法です。
これだけではよく分からないと思いますので、
例文を通して活用できるようにしましょう。
【例文】PAC思考の考え方
それでは、例文を用いて考えた方をみてみましょう。
「このプロジェクトは数十年続いてきた。景気、不景気に関わらずプロジェクトは続いているため、このプロジェクトは安泰です」
Step1: PACに分解する
Step2: 仮定が正しいかチェックする
PACの順番とは違いますが、先にAの仮定を疑ってみましょう。
仮定を疑う時には2つの視点でチェックします。
①仮定自体が正しいか
仮定:「景気、不景気に関わらずプロジェクトは続いている」
これは、本当に正しいでしょうか?
景気・不景気って、何の指標でどのレベルで、捉えているでしょうか。
社会的に不景気の中でも業界によっては、不景気の中でも好況があります。
※コロナ禍で不景気と言われても、巣ごもり需要はありIT系は調子がいいですよね。
自分の業界に直面するような経済的ダメージではなかっただけではないでしょうか。
仮定に対して、批判的に考えてみましょう。
②「前提」と「結論」の結びつきが正しいか
「前提」から「結論」を導くためには、仮定が粘着力となります。
そのため、結論を示すのに、前提以外に他に理由がないかをチェックしましょう。
例えば、「プロジェクトは安泰」と主張するためには、
前提に「ポートフォリオでリスク分散している」「長期的にリソースが確保できている」など、他の要素がないと結論と前提が結びつかないかどうかを確認しましょう。
Step3: 前提が正しいかチェックする
こちらも2つの視点でチェックしましょう。
①前提自体が正しいか
前提条件自体が誤っているということも、あります。
前提:「このプロジェクトは数十年続いてきた」
長期的に見ると、そう主張してよいかもしれませんが、
詳細を確認すると、実は「顧客が一時期プロジェクトを凍結していた数カ月は除いていた」なんてこともあるかもしれません。
自社としては、顧客が継続している間ずっと、という解釈かもしれませんが、
安泰という根拠に使うには心許ないですね。
②前提条件は今も活用できるか
前提条件は時間と共に変わっていく可能性があります。
今回の例では、事実ベースですので変化することはないですが、今も活用できる前提条件かはチェックしておきましょう。
例えば、「○○というマニュアルに沿って仕事をする必要がある」などの場合、
「そのマニュアルは今も使ってて大丈夫?」など、前提も疑うクセをつけておくといいと思います。
【注意】実務では「前提」「仮定」は省略されることが多い
実務でのコミュニケーションにおいては、常に相手の主張に対して、「前提」「仮定」が提示されているわけではありません。
むしろ省略されていることが多いでしょう。
前提は、相手が当たり前と思っていると省略されます。
仮定は、思い込みなどからか、あえて口にすることも少ない印象です。
そのため、ある程度、こちらで補う必要があります。
まとめ
以上、PAC思考について紹介しました。
- PAC思考とは、Premise(前提), Assumption(仮定), Conclusion(結論)の3要素に分解して思考精度を上げる思考法
- 「P:前提が正しいか」「A:仮定が正しいか」をチェックし思考を確認する
- 自分の考えだけではなく、相手の主張も理解することで議論がしやすくなる