GDPに関するニュースをよく耳にします。
恥ずかしながら、GDPについてよくわかっていません。。
GDPは国内の経済規模・景気動向を示す指標として用いられていますが、実はよくわかってない(忘れてしまう)ことも多いと思います。
今回、「GDPの定義」から「名目GDP」「実質GDP」などの用語を整理して紹介します。後半には、現在の日本・世界の状況などの比較もしていますので、本記事を読んだらニュースが理解できるようになると思います。
【知識編】GDPの基礎知識を習得しよう!
GDPとは
GDPは、“Gross Domestic Product”の略で”国内総生産”と呼ばれています。
各単語を訳すと以下のようになります。
Gross … 総、合計
Domestic … 国内
Product … 生産
内閣府のHPでは、GDPを以下のように説明しています。
GDPは国内で一定期間内に生産されたモノやサービスの付加価値の合計額。
内閣府 GDPとGNI(GNP)の違いについて
- ”国内”とありますので、生産者の国籍は問いません。
一方、国内であるため、海外で生産している日本企業の付加価値は含まれません。
こちらは、GNP(Gross National Product)“国民”総生産で確認できます。 - ”付加価値”が対象です。
例えば、ラーメンを1,000円で販売した時、作るのに300円かかったとすると、700円が付加価値になります。
なぜ付加価値に着目しているのか?
もし原材料を含めると、売買が繰り返される度に、重複して計算されてしまうので、付加価値で見ているのですね!
上記のポイントを踏まえると、
「国の経済規模を測る指標」として用いられている理由がわかります。
「名目GDP」と「実質GDP」とは何か?
「名目GDP」と「実質GDP」の違い
実は、GDPには2種類あります。
それは「名目GDP」と「実質GDP」 ですが、
「名目」か「実質」の違いは、物価変動を反映させているかどうかです。
「名目GDP」とは
前述の説明は、「名目GDP」と考えてください。再掲します。
名目GDPは、「国内で一定期間内に生産されたモノやサービスの付加価値の合計額」です。
「実質GDP」とは
実質GDPは、「名目GDPから物価変動の影響を取り除いたもの」です。
例えば、ラーメン1,000年を1年間で1万個売ったとします。
※単純化するため、国内はラーメン屋のみ、コスト0円とします。
すると、GDPは1,000万円となります。
2年目を2通り考えてみます。
同じ価格で、販売数量が1.2万個になったとします。(数量変化)
この場合、名目GDPも実質GDPも同じ1,200万円です。(1,000円×1.2万個)
次に、200円値上げし、1年目と同じ数量である1万個売れたとします。(価格変化)
この場合、名目GDPは 1,200万円です。(1,200円×1万個)
一方、実質GDPは、価格変動の200万円(200円×1万個分)の増加を差し引いて計算しますので、
1,000万円となります。
「名目GDP」と「実質GDP」の使い分け
では、「名目」「実質」どちらを見ればよいのでしょうか。
「名目GDP」は「価格」と「生産量」の両方を見ていますが、
「実質GDP」は「生産量」の動きを見ています。
何を見たいかによって変わってきますが、
大枠以下のように理解しておくといいと思います。
「名目GDP」… 経済規模を知りたい
「実質GDP」…成長度合いを知りたい
よく経済成長率を見ることが多いと思いますが、
その場合、価格変動を考慮しない「実質GDP」で見ることが多いです。
名目値では、インフレ・デフレによる物価変動の影響を受けるため、経済成長率を見るときは、これらの要因を取り除いた実質値で見ることが多い。
内閣府 名目値と実質値の違いは?
【実践編】 GDPで世の中を見てみよう!
世界の名目GDP推移
大きなところから見ていきましょう。
世界の名目GDPは、2020年時点で約85兆ドル規模になっています。
名目GDP国際比較
内訳をみると、上位5か国合わせると、半分以上を占めていることがわかります。
また、「米国」「中国」だけで4割を占めており、存在感が大きいです。
さらに、時系列でみてみましょう。
時系列でみると、中国が急増していることが分かります。
米国を猛追していますね。
一方、日本は残念ながら、横ばいが続いています。
ドイツやインドが伸びていることからも、日本が第三位と言ってもいつまで続くか怪しい状況です。
一人あたり名目GDPランキング
下記は、世界銀行が発表しているデータを元に作成したものです。
世界銀行が公表しているデータのCountryを対象としてランキングしています。
[]内が順位ですが、TOP10に加え日本と中国を記載しています。
中国はまだ一人当たりに換算すると日本よりも低い水準ですが、
一人当たりGDPも当然、急増していますので今後も注目に値するでしょう。
まとめ
以上、GDPについてまとめました。
- GDPは、Gross Domestic Productの略
- GDPは国内で一定期間内に生産されたモノやサービスの付加価値の合計額
- GDPには、「名目GDP」「実質GDP」の2種類が存在する
- 名目GDPは、規模を把握したい時に主に参照する
- 実質GDPは、経済成長を把握したい時に主に参照する
参考資料
[1] 内閣府 GDPとGNI(GNP)の違いについて
[2] 内閣府 名目値と実質値の違いは?
[3] The world bank GDP