プロジェクトの規模を説明するときに「自分のプロジェクトは大規模と言っていいのだろうか」と悩んだことがあります。
同じように悩んでいる方には、参考になると思います。
結論
さっそく結論ですが、「明確な定義はない」ということが分かりました。
残念に思ったかもしれませんが、それが分かることで以下の価値はあります。
- 「定義がない」と説明ができる。あるいは、定義がない前提で話を進めることができる。
- いくつかの目安を知れる
それでは、いくつかの指標を紹介しますので、参考にしてみてください。
IPA(独立行政法人情報処理推進機構)による定義
調査データによる定義
規模 | 目安 |
小規模 | 30 名未満のプロジェクト |
中規模 | 30 名以上〜100 名未満のプロジェクト |
大規模 | 100 名以上のプロジェクト |
アジャイル型開発におけるプラクティス活用事例調査 調査報告書 〜調査編〜
平成 25 年 3 月 19 日 独立行政法人情報処理推進機構 技術本部 ソフトウェア・エンジニアリング・センター p.17 表 3-4 規模別分類
下記の調査でも、「中規模が30-99名、大規模が100名以上」と同様の定義になっていそうです。
2012年3月28日 独立行政法人情報処理推進機構
プレス発表 中・大規模な開発プロジェクトで非ウォーターフォール型開発を成功させるポイント等を紹介
PM育成ハンドブックによる定義
現在は、公開されてないようですが、過去にPM育成ハンドブックが作成されていました。
下記に記載がありますが、「プロジェクト人数」「金額」などが規模の目安として利用されています。
しかしながら、データが古いこと、PM育成ハンドブックが現在継続していないことを考えると、この指標はあまり参考にならないかもしれません。
そのため、具体的な数値などはここでは記載せず、紹介程度にとどめておきます。
書籍「ソフトウェア見積もり」による定義
「ソフトウェア見積もり」では、最適な見積もり技法を選択するために、プロジェクトの規模を考慮しなければならない1要素としてとらえられています。
本書では、以下のように定義していますので、こちらも参考にすることができます。
「人数」に加えて「期間」の概念も入ってきています。
規模 | 目安 |
小規模 | 5 名以下 |
中規模 | 5〜25名程度 3カ月から1年継続するプロジェクト |
大規模 | 25 名以上 半年から1年以上継続するプロジェクト |
第6章 6.1.2 プロジェクトの規模
まとめ
規模の指標を紹介しました。
人数だけで比較すると、「ソフトウェア見積もり」では、25名以上が大規模にも関わらず、
IPAでは、小規模に分類されるのが興味深いです。
おそらく、「対象とする業界」や「関心事」によって変わってくるのだと思います。
あまり定義自体にはこだわらず、説明するときには具体的に話すことで、認識のズレを防ぐことができそうです。