景気を判断する指標として、業況判断指数という言葉を聞きました。景気動向指数とはどう違うのでしょうか。
景気を判断する指標としては、内閣府が発表している景気動向指数があります。業況判断指数は、日銀が金融政策の運営に利用するために、調査したもので目的が違います。具体的な内容を調べました。
業況判断指数とは
日本銀行が実施している全国企業短期経済観測調査で発表される景気の判断指数です。調査対象企業へ業況についての判断を問う質問を行い、「良い」と回答した企業割合から「悪い」と回答した企業割合を引いたもので判断されます。50%が横場合、上回ると「景気が良い」、下回ると「景気が悪い」ことを示します。
短観(全国企業短期経済観測調査)の目的
日本銀行が行う統計調査です。企業の動向を把握し、金融政策の運営に役立てることを目的としています。
短観の調査内容
調査対象
調査対象は、「全国の資本金 2 千万円以上の民間企業」ですが、「営利性があまり強くなく、景気動向との連関が弱い業種」は対象外です。対象外の業種として、学術・開発研究機関や医療業などが該当します。
なお、短観を補完する位置づけとして、「金融機関調査」「持ち株会社等に関する調査」「海外での事業活動に関する調査」なども存在しています。興味のある方は、日本銀行のHPから確認いただけます。後述の参考資料にアクセスすれば、詳しく確認ができます。
調査項目
4 区分・26 項目あります。判断項目では、「最近」と「先行き(3カ月)」について、「良い」「さほど良くない」「悪い」で回答します。Diffusion Indexという集計方法では、「良い」と答えた企業の割合から、「悪い」と答えた企業の割合を引いて算出します。
ニュースで取り上げられている「業況判断指数(DI)」はこの判断項目だと思います。
区分 | 項目数 | 内容 | 集計方法 |
---|---|---|---|
判断項目 | 13 | 需要や雇用、販売価格、仕入れ価格など | DI(Diffusion Index) |
年度計画 | 10 | 需要や雇用、販売価格、仕入れ価格など | 実数、実額 |
物価見通し | 2 | 売上高やソフトウェア投資額、研究開発投資額など | 実数、実額 |
新卒者採用状況 | 1 | 新卒採用者数 | 実数、実額 |
DIに関しましては、景気動向指数の記事にも記載していますので、興味のある方はご覧ください。
調査区分
二通りの区分があります。
- 業種別
- 規模別
業種別は、「製造業を 17 業種、非製造業を 14 業種に区分」しています。この業種の分類には、総務省の「日本標準産業分類」がベースになっています。
規模別では、3つに区分しています。
大企業 | 資本金 10億円以上 |
中堅企業 | 資本金 1億円以上 10億円未満 |
中小企業 | 資本金 2千万円以上 1億円未満 |
短観の公表タイミング
四半期に一度発表されます。
調査自体は、毎年 「3 月、6 月、9 月、12 月」に実施しているようです。そのため、公表は「4月初、7月初、10月初、12月央」頃になります。1974年5月から開始しており、今でも公表されています。
まとめ
景気を知る指標として、内閣府の景気動向指数とは別に、日銀が発表している業況判断指数(DI)があります。金融政策の運営に活用するために調査しているものでもあるため、信頼に値するデータと考えてよいと思います。
大企業製造業は、景気の影響も受けやすく、インパクトもあるので、特に注目されています。
景気を見通すのに、業況判断指数(DI)も参考にしてみてください。
参考資料
日本銀行 短観 (https://www.boj.or.jp/statistics/tk/index.htm/)
日本銀行 短観 解説 (https://www.boj.or.jp/statistics/outline/exp/tk/data/extk04.pdf)
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